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2013年03月21日

高村自民党副総裁と政経懇談会を開催

 経団連は去る3月19日、自由民主党の高村副総裁と当面の重要政策課題等を巡り意見交換した。経団連側より、米倉会長、渡審議員会議長、副会長ら13名が出席した。以下は懇談会の概要である。

米倉 会長
 第二次安倍政権は、昨年末の発足以来、経済の再生を最優先課題に、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「三本の矢」として掲げ、次々に具体的な政策を実行に移してきた。そして、先週15日には、安倍総理がTPP交渉への参加を正式に表明された。
 こうした動きをうけて、市場では、行き過ぎた円高の是正と株価の回復が進みつつあり、わが国企業を取り巻く事業環境にも、ようやく明るい兆しが見えてきた。
 高村副総裁には今後も引き続き、政府・与党が一体となって、日本経済の早期再生のために必要な政策を力強く、スピーディに推進していただきたい。
 経済界としても、イノベーションを加速させ、自ら新たな成長の機会を創り出すことで、民主導の持続的な経済成長の実現、ならびに、雇用の維持・創出に努めていく。

高村 副総裁
 昨年12月の総選挙において自民党は「日本を取り戻す」を掲げ、そのためには、経済、外交、教育を取り戻さなければならないと訴えた。国民に対して、このために実現したい政策を訴えて勝たせてもらった以上、掲げた政策を実現していく責任がある。現在、内閣支持率、自民党の政党支持率ともに選挙直後より上昇している。国民にも政策が実現しつつあることを実感してもらえているのだと思っている。
 経済の再生に向けて、金融政策、財政政策、成長戦略の三本の矢を掲げた。金融政策を巡っては、当初、賛否両論があったが、今の市場の好反応が「論より証拠」ということを示している。
 財政政策については、政権発足後、速やかに13兆円規模の補正予算を編成した。このうち、景気対策関連は10兆円である。補正予算を巡って、公共事業が多いとの批判があることは承知している。
しかし、公共事業はすぐに需要につながり、投資の呼び水にもなるものだ。また、防災対策など国民生活の安全に寄与するものも盛り込んでいるが、これらはいつかはやらねばならないものだ。
 一時的に単年度の財政負担が増えるが、中長期には財政への影響が小さくなるよう、過大な負担は避けて、中長期の財政フレームも示していく。また、予算の中身を精査していただき、ご意見があれば耳を傾けたい。
 成長戦略は三本の矢のうち、もっとも重要なものであり、経済のメインプレイヤーである企業にどれだけ活動してもらえるかが鍵となる。企業の投資を増やすことがデフレ脱却にもつながる。需要の3番バッター、4番バッターは投資と消費であり、雇用、賃金、消費の好循環を作る必要がある。
 経済界には、安倍総理からの賃上げの要請にしっかり応えていただき、大変ありがたく思っている。これからは収益を上げて、さらに給与も上げてもらいたい。政治としても賃上げを要請する以上は、政治の責任として事業環境のグラウンド整備を行う。要望があれば伝えてもらいたい。

【意見交換(概要)】
経団連側:
 三本の矢のうち、成長戦略の実行については、経済界としても責任を持って推進していきたいと考えている。ただ、規制や縦割り行政が障害となっていることが多い。例えば、科学技術基本計画の策定に際しては、予算の策定段階になると色々な所から要望が噴出する。総合科学技術会議がその取りまとめに当たるのだが、リーダーシップを十分に発揮できず、第二期計画、第三期計画ともに政府研究開発投資が目標額を下回る結果となっている。こうした事例を踏まえ、まずは縦割り行政の弊害をなくしてもらいたい。

高村副総裁:
 縦割りの弊害については、組織である以上、縦割りがなくなることはなく、永遠の課題である。それを踏まえた上で、総合科学技術会議がどれだけリーダーシップを発揮できるかが鍵となる。政府にも要望をしっかり伝える。

経団連側:
 成長戦略で最も重要なのは、全体最適の観点から構造改革を推し進めていくことだ。この観点から、TPPにおいても、強い農業をどう育成するかが重要である。全体最適の観点から規制改革を推進し、農業を成長産業へと変えていかなければならない。

高村副総裁:
 農地の規模や条件など諸々勘案した上で、規制改革を進め、強い農業を実現していく。なお、農産品の品目によっては、一定程度の関税も必要である。

以 上


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